世界の「いま」を現場からお届けする月刊JVC #11

『変質するODA(政府開発援助)~すすむ軍事』

政府開発援助(ODA)といえば、日本が途上国の社会開発のための技術協力やインフラ整備をするもの、と思っている方が多いのではないでしょうか。そのODA、いまや変質しているのです。 昨年、自衛隊の機材がODAでフィリピンの国軍に提供されました。「中国の海洋進出」に対抗するかのように、フィリピン、ベトナム、インドネシアには沿岸警備隊の巡視船が何隻も提供されました。それもODAです。 2015年に改定された「開発協力大綱」(ODAの基本方針)では、他国の軍を対象にした援助が人命救助などの「非軍事」分野で解禁されました。その後、軍を相手にした援助は、自衛隊による能力構築支援(使い方の訓練)とセットで増え続け、日本が「同盟国・同志国」と呼ぶ国々との軍事協力が拡大しています。 防衛費のGDP2%への増額を打ち出した日本。もし実現すれば世界3位の軍事大国になります。軍備強化と、他国との軍事協力。ますます「戦争できる国」への歩みが進んでいます。 そうした中、9月9日に外務省は2015年以来となる「開発協力大綱」の改定を発表しました。いったいどんな改定になるのか? 今回は、ODAの問題に詳しい恵泉女学園大学教授の高橋清貴さんをスタジオにお招きして、軍事化するODAの「いま」を、お伝えします。